資料:開国、甲申政変


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(1)朝鮮への開国要求交渉に派遣された広津弘信の建議書(1875年4月)

 今、彼[朝鮮]の内訌(ないこう)して攘鎖党未だ其(その)勢を成さざるの際に乗じ、力を用いるの軽くして、しかして事を為すの易からんには。即今、我軍艦一、二隻を発遣し、対州[対馬]と彼国との間に往還隠見して海路を測量し、彼をして我意の所在を測り得ざらしめ、又、朝廷時に我理事[特使・森山茂]の遷延を督責するの状を示し、以て彼に逼(せま)るの辞あらしめば、内外の声援に因(よっ)て理事の順成を促がし、又、結交に於ても幾分の権利を進るを得べきは必然の勢なり。

(『日本外交文書』第8巻)

(2)甲申政変(1884年)で発表された14か条の政綱

1.大院君を早急に帰国させ、清国に対する朝貢虚礼を廃止すること
2.門閥を廃止し、人民平等の権を制定して、才能によって官吏を登用し、官職によって人を選ばないようにすること
3.全国の地租法を改革し、奸吏を根絶し、窮民を救済し、国家財政を充実させること
4.内侍府[王室財政を担当する官庁]を廃止し、そのなかで才能ある者だけを登用すること
5.前後の時期に不正をし、国家に毒害を及ぼした人のなかで、その罪が顕著な者は処罰すること
6.各道の還上米[国家が利子をつけて農民に貸す米]は、永久に回収しないこと
7.奎章閣[王室の図書館]を廃止すること
8.早急に巡査を置き、盗賊を防ぐこと
9.恵商公局[行商人の監督官庁]を廃止すること
10.前後の時期に流配または禁固された罪人を、再調査して釈放すること
11.四営[軍]を合わせて一営とし、営中から壮丁を選んで直ちに近衛隊を設けること。陸軍大将は王世子を任ずる
12.すべての国内財政は戸曹で管轄し、その他いっさいの財務官庁を廃止すること
13.大臣と参賛は日を定めて閤門内の議政府[内閣]で会議をおこない、政令を議定、執行すること
14.政府六曹のほか、すべて不要な官庁は廃止し、大臣と参賛をして審議処理させること

(金玉均『甲申日録』)


(3)天津条約・日英修好通商条約・朝英修好通商条約の不平等条項比較

  協定関税率  内地通商権  [1]沿岸貿易権
[2]沿岸海運権
[3]内河航行権
税関管理権  土地・家屋の賃借・購買、住宅・倉庫・工場の設立 首都開市
清英・天津条約(1858) 従量税(1)
輸出税・輸入税:従価5%+国内関税(厘金)2.5%=7.5%
承認
=中国全土をイギリス資本に開放
[1][2]承認(2)
[3]揚子江のみ承認(3) 
すべての開港場で外国人税務司制度(4)=内政・外交・財政・金融に強力な発言権 否認  否認 
日英修好通商条約(1858) 従価税(5)
輸出税:従価5%
輸入税:5%・20%・35%(8)
否認。開港場から四方10里以内の歩行のみ認定 [1][2][3]否認(6)  自主権を堅持  否認  否認(7) 
朝英修好通商条約(1883)  従量税
輸出税:5%、輸入税:7.5%
内地課税(厘金)否定 
開港場から100里以内で認定  [1][2]承認
[3]否認 
規定なし。事実上、税関運営は清が支配、関税は日本の第一銀行が取扱  居留地外10里以内で承認  承認(9) 

出典:李炳天『開港期外国商人の侵入と韓国商人の対応』ソウル大学校経済学科博士学位論文、1985年、より作成。

注:(1)貨物の重量、容積、個数など数量を基準として、一単位数量の税率を決定。価格が騰貴しても税額は固定しているため外国商人に有利。
(2)望厦条約・黄埔条約(1844)で承認。
(3)1898年、完全に開放。
(4)1854年、上海で始まる。
(5)課税物件の価格を標準にして、その価格に対する一定の比率で課せられる税。税額決定のためには個々の輸出入品の単価が確定されねばならないが、最終的な価格決定権は税関が握っているため外国商人には不利。
(6)1869年、開港場間の沿岸貿易権・沿岸海運権のみ承認。
(7)外国貿易に対して直接門戸を開いていない(東京湾への外国船舶出入禁止)。ただし1868年築地居留地設置、外国人の居住は認める。
(8)大部分は20%。1886年、従価5%の従量税に移行、英清条約と同一内容に。
(9)開港場・仁川から100里以内で内地通商圏内。またソウルに外国人雑居。