資料:1910年代の武断政治


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(1)「併合後の韓国に対する施政方針決定の件」(1910.6.3閣議決定)

一、朝鮮には当分の内憲法を施行せす大権に依り之を統治すること
一、総督は天皇に直隷し朝鮮に於ける一切の政務を統括するの権限を有すること
一、総督には大権の委任に依り法律事項に関する命令を発するの権限を与ふること
 但本命令は別に法令又は律令等適当の名称を付すること

[中略]

 附憲法の釈義
韓国併合の上は帝国憲法は当然此の新領土に施行せらるるものと解釈す然れとも事実に於ては新領土に対し帝国憲法の各条章を施行せさるを適当と認むるを以て憲法の範囲に於て除外法規を制定すへし

 

(2)緊急勅令第324号「朝鮮に施行すへき法令に関する件」(1910.8.29公布)

第1条 朝鮮に於て法律を要する事項は朝鮮総督の命令を以て之を規定することを得
第2条 前条の命令は内閣総理大臣を経て勅裁を請ふへし
第3条 臨時緊急を要する場合に於て朝鮮総督は直に第1条の命令を発することを得
    前項の命令は発布後直に勅裁を請ふへし若勅裁を得さるときは朝鮮総督は直に其命令の将来に向て效力なきことを公布すへし
第4条 法律の全部又は一部を朝鮮に施行するを要するものは勅令を以て之を定む
第5条 第1条の命令は第4条に依り朝鮮に施行したる法律及特に朝鮮に施行する目的を以て制定したる法律及勅令に違背することを得す
第6条 第1条の命令は制令と称す
附 則 本法は公布の日より之を施行す

 

(3)勅令第354号「朝鮮総督府官制」(1910.9.30公布)

第1条 朝鮮総督府に朝鮮総督を置く
    総督は朝鮮を管轄す
第2条 総督は親任とす陸海軍大将を以て之に充つ
第3条 総督は天皇に直隷し委任の範囲内に於て陸海軍を統率し及朝鮮防備の事を掌る
    総督は諸般の政務を統轄し内閣総理大臣を経て上奏を為し及裁下を受く
第4条 総督は其の職権又は特別の委任に依り朝鮮総督府令を発し之に一年以下の懲役若は禁錮、拘留、二百円以下の罰金、または科料の罰則を附することを得

[中略]

第8条 総督府に政務総監を置く
    政務総監は親任とす
    政務総監は総督を補佐し府務を統理し各部局の事務を監督す

[中略]

第21条 総督府に総督附武官二人及専属副官一人を置く

[後略]

  

(4)階層別農家戸数の推移


年 次

地 主
  

自 作 農
 

自作兼小作農
 

小 作 農

1915
1916
1917
1918
1919
1920 
    戸
39,405
66,391
73,195
81,541
90,386
90,930 
   %
1.5
2.5
2.8
3.1
3.4
3.3 
     戸
570,380
530,195
517,996
523,332
525,830
529,177 
   %
21.7
20.1
19.6
19.7
19.7
19.4 
      戸
1,073,838
1,073,360
1,061,438
1,043,836
1,045,606
1,017,780 
   %
40.8
40.6
40.2
39.4
39.3
37.4 
       戸
  945,398
  971,208
  989,362
1,003,775
1,003,003
1,082,842 
  %
36.0
36.8
37.4
37.8
37.6
39.8 

 [資料]『朝鮮ノ小作慣行』下巻

  

(5)工業会社民族別資本金の推移

                                          (単位:百万円、下段は%)                   



年 次
  

公称資本金
   

払込資本金
   

朝鮮人

日本人

合 弁

合 計

朝鮮人

日本人

合 弁

合 計

1911
  

1917
  
 

  7.4
(18.6)

 11.5
(15.0)
 

 10.5
(26.4)

 59.2
(77.2)
 

 21.9
(55.0)

  6.0
 (7.8)
 

 39.8
(100.0)

 76.7
(100.0)
 

  2.7
(17.0)

  5.8
(12.7)
 

  5.1
(32.1)

 38.0
(83.2)
 

  8.1
(50.9)

  1.9
 (4.2)
 

 15.9
(100.0)
 
 45.7
(100.0)
 

 [資料]『朝鮮総督府統計年報』