資料:1920年代の「文化政治」


注のページへ

講義ノートの目次へもどる

トップページへもどる


(1)「文化政治」の本質

 「表面暴力をもって抵抗し来たるものは、威力をもって之を制限することは容易である。しかしながら漸次C醸(うんじょう)しつつある思想の暗流は、到底威力をもって如何ともすべからざるものである。ここをもって為政者たるものは、常に民心の趨向に注視し、暗流の奔騰を未然に察して、これを浄化誘導すべき適当なる方途を講ずることが必要である。即ち、民意の暢達を図り、人心の転換を策することは、蓋し思想悪化の安全弁となるであろう」(朝鮮新聞社『朝鮮統治の回顧と批判』)

 「朝鮮人をして、我が帝国の統治に服せしむるがために、彼等をして安じてその生を楽み、 我が統治の有り難味を感じせしめると云うことが必要である」(水野錬太郎)

 「朝鮮統治の終局の目的は内地同様ならしむるに在り。唯現在の状態に於て直ちに内地同様なる統治法を取ることを得ざるのみ」(原敬)

 

(2)警察機構の変化

・武断政治期(憲兵警察制度)

《ソウル》          総督
       ┌───────┴───────┐
     憲兵隊司令部          警務総監部
       │〔司令官(=陸軍将官=)総監〕│
       │               │
《各道》 憲兵隊本部            警察部
       │ 〔隊長(=陸軍佐官=)部長〕│
       │               │
《各府郡》憲兵分隊             警察署
     (警察署の職務も執行)       │
                     ┌─┴─┐
                    駐在所 派出所

・「文化政治」期(普通警察制度)

《ソウル》           総督
       ┌────────┴───────┐
       │               警務局
       │               (連絡・調整機関、海外)
《各道》  道知事
       │
      第3部(のち警察部)
       │〔部長〕
       │
《各府郡》 警察署
     ┌─┴─┐
    駐在所 派出所

 

(3)全羅北道・5水利組合の土地移動

年 度 日本人地主 朝鮮人地主 その他の土地 土地合計
    所有地     所有地
  
 1920
 1931
   
  417

  828
     町歩
  3,674

  8,999
   
 3,141

 2,960
     町歩
  4,181

  3,545
    
   2,694

   7,292
      町歩
  10,549

  19,836

[資料]東畑精一・大川一司『朝鮮米穀経済論』

 

(4)工業部門別生産額(1929年)

業  種 生 産 額 百分比

 金属工業
 機械器具工業
 化学工業
 ガス・電気業
 窯業
 紡織工業
 食料品工業
 製材・木製品工業 
 印刷・製本業
 その他工業  
       
  20,383,470

   4,542,634
  17,412,631
  16,388,941
   9,116,126
  38,211,627
  223,412,433
   7,720,709
   9,954,204
   4,309,381 

  5.8
  1.3
  5.0
  4.7
  2.6
  10.9
  63.5
  2.2
  2.8
  1.2
  合  計   351,462,156   100.0 

[資料]『朝鮮経済年報』1939年版