済州4・3真相糾明および犠牲者名誉回復に関する特別法

法律 第6117号

1999年12月16日 国会通過
2000年1月12日 公布
2000年4月13日 施行予定

第1条(目的) この法は済州4・3事件の真相を糾明し、この事件と関連した犠牲者とその遺族の名誉を回復させることによって、人権伸張と民主発展および国民和合に資することを目的とする。

第2条(定義) この法で使用する用語の定義は、次の通りである。
 1. ‘済州4・3事件’とは、1947年3月1日を起点にし、1948年4月3日に発生した騒擾事態、および1954年9月21日までに済州道で発生した武力衝突と鎮圧過程において、住民が犠牲になった事件をいう。
 2. ‘犠牲者’とは、済州4・3事件により死亡したり行方不明になった者、または後遺障害が残っている者で、第3条第2項第2号の規定により、済州4・3事件の犠牲者と決定された者をいう。
 3. ‘遺族’とは、犠牲者の配偶者(事実上の配偶者を含む)および直系尊卑属をいう。ただし、配偶者および直系尊卑属がいない場合は兄弟姉妹をいう。

第3条(済州4・3事件真相糾明および犠牲者名誉回復委員会)
[1]済州4・3事件の真相を糾明し、この法による犠牲者および遺族の審査・決定、および名誉回復に関する事項を審議・議決するために、国務総理の所属下に済州4・3事件真相糾明および犠牲者名誉回復委員会(以下‘委員会’とする)をおく。
[2]委員会は次の各号の事項を審議・議決する。
 1. 済州4・3事件真相調査のための国内外関連資料の収集および分析に関する事項
 2. 犠牲者および遺族の審査・決定に関する事項
 3. 犠牲者および遺族の名誉回復に関する事項
 4. 真相調査報告書作成および史料館造成に関する事項
 5. 慰霊墓域造成および慰霊塔建立に関する事項
 6. 済州4・3事件に関する政府の立場表明などに関する建議事項
 7. この法で定められている戸籍登載に関する事項
 8. その他、真相糾明と名誉回復のために大統領令が定める事項
[3]委員会は委員長1名を含む20名以内の委員で構成され、委員長は国務総理がなり、委員は済州道知事と関係公務員・遺族代表を含み、学識と経験が豊富な者の中から大統領令が定めるところによって、国務総理が任命または依嘱する。
[4]委員会の組織および運営に関し、必要な事項は大統領令で定める。

第4条(済州4・3事件真相糾明および犠牲者名誉回復実務委員会)
[1]委員会の議決事項を実行し、委員会から委任された事項を処理するために、済州道知事の所属下に済州4・3事件真相糾明および名誉回復実務委員会(以下‘実務委員会’とする)をおく。
[2]実務委員会は次の各号の事項を処理する。
 1. 犠牲者と遺族の被害申告受付に関する事項
 2. 被害申告に対する調査に関する事項
 3. 医療支援金および生活支援金の支給に関する事項
 4. その他委員会から委任された事項
[3]実務委員会は委員長1名を含む15名以内の委員で構成され、委員長は済州道知事がなり、委員は関係公務員と遺族代表を含み、学識と経験が豊富な者の中から委員長が任命または委嘱する。
[4]実務委員会の組織および運営に関して、必要な事項は条例で定める。

第5条(不利益処遇禁止)
[1]誰でも済州4・3事件と関連し、自由に証言できる。
[2]犠牲者およびその遺族は、済州4・3事件犠牲者とその遺族であるという理由で、いかなる不利益や不当な処遇も受けない。

第6条(済州4・3事件関連資料の収集および分析)
[1]委員会はその構成を終えた日から2年以内に、資料の収集および分析を完了しなければならない。
[2]委員会または実務委員会は、第1項の資料収集のために、必要な場合には関係行政機関または団体(以下、本条で‘関係機関または団体’とする)に対して、関連資料の提出を要求することができる。この場合、要求をうけた関連機関または団体は、特別な事由がない限り、これに応えなければならない。
[3]関連機関または団体は、済州4・3事件関連資料の発掘および閲覧のために、必要な便宜を提供しなければならない。
[4]政府は、第2項により提出要求を受けた資料を外国で保管している場合には、該当政府と誠実に交渉しなければならない。

第7条(真相調査報告書作成) 委員会は第6条第1項の期間が終了した日から6カ月以内に、済州4・3事件真相報告書を作成しなければならず、真相調査報告書作成において客観性と作業の円滑を期すため、済州4・3事件真相報告書作成企画団を設置し、運営することができる。

第8条(慰霊事業) 政府は、済州4・3事件の犠牲者を慰霊して歴史的意味をかみしめ、平和と人権のための教育の場として活用し、慰霊祭礼などの便宜を図るための、次の各号の事業施行に必要な費用を予算の範囲内で支援することができる。
 1. 慰霊墓域造成
 2. 慰霊塔建立
 3. 4・3史料館建立
 4. 慰霊公園造成
 5. その他、慰霊関連事業

第9条(医療支援金および生活支援金)
[1]政府は犠牲者中、継続して治療を要したり、常時介護または補助装具の使用が必要な者に、治療と介護および補助装具購入に要する医療支援金および生活支援金を支給することができる。
[2]医療支援金および生活支援金を支給される権利は、譲渡または担保に提供されたり、差し押さえすることはできない。
[3]医療支援金および生活支援金の支給範囲と金額の算定および支給方法などは、大統領令で定める。

第10条(犠牲者とその遺族の申告処設置および公告) 委員会はこの法の施行日から30日以内に、大韓民国在外公館に犠牲者とその遺族の済州4・3事件関連被害申告を受け付けるための申告処の設置を要請し、設置された申告処を公告しなければならない。

第11条(戸籍登載) 済州4・3事件当時、戸籍簿喪失により戸籍登載が抜け落ちたり、戸籍に記載された内容が事実と違った場合、他の法律の規定にかかわらず、委員会の決定にしたがって、大法院規則が定める手続きにより、戸籍に登載したり戸籍の記載を訂正することができる。

付則
 この法は公布後3カ月が経過した日から施行する。


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