資料:甲午改革・独立協会と大韓帝国


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(1)洪範14条(1895年1月7日)

1.清国に依存する考えを断ち、自主独立の基礎を確固として建てる

2.王室典範を制定し、王位の継承と王族・戚臣のわきまえを明らかにする

3.大君主は正殿に出て政事をつかさどり、国政は各大臣と親しく洵議して裁決し、王后・妃嬪・王族・戚臣が関与することを許さない

4.王室事務と国政事務は須らく分離し、互いを混同させないようにする

5.議政府と各衙門の職務権限を明確に定める

6.人民への課税はすべて法令で定め、みだりに名目をつくっていたずらに徴収させないようにする

7.租税の課徴と経費の支出は、すべて度支衙門により管轄する

8.王室の費用を率先して節約し、各衙門と地方官庁の模範とする

9.王室の費用と各官庁の費用は、前もって年間予算を作成し、財政基盤を確立する

10.地方官制を早急に改定し、地方官吏の職権を制限する

11.国内の聡明な青年を広く外国に派遣し、学術と技芸を伝習させる

12.将官を教育し、徴兵法を制定して、軍制の基礎を確立する

13.民法と刑法を厳格に制定し、みだりに監禁したり懲罰することを禁じ、人民の生命と財産を保全する

14.人を採用するのに門閥や地縁にとらわれることなく、学徳のある者はあまねく朝野に求め、人材登用の道を広くする

 

(2)独立協会の救国宣言上疏(1898年2月21日)

 われらが思うに、国が、国であるためには二つ[の要件]が必要である。曰く自立して外国に頼らないこと、曰く自修して国内に法にもとづく政治を行うことである。[中略]われらが独立門を建て、独立協会を設立した所以(ゆえん)は、上は君主の位を尊び、下は人民の意志を固めて、億万年も永遠に続く[国家の]基礎を確立するところにある。しかし昨今の国の情勢をうかがうに、ともすれば危うい状況にあり、数多(あまた)の施策は民の望むものと大いに違っている。

 自立について言えば、財政は外国に委ねるべきでないのに外国に委ね、軍事は自らが担うべきなのに外国の手の内にある。はなはだしくは官吏の任免さえ、自由に行うことが出来ないでいる。[中略]

 自修について言えば、いやしくも国と名のるのは、法律や制度があればこそである。今のわが国に法律があり、制度があると言えるだろうか。旧式[の法律や制度]は廃止したと言って行わず、新式は定めても行わない。行わなければ、これはあってないのと同じである。もうすでに法律や規則はないと言うなら、それは国ではなく、国がもはや国でなければ、人心はおのずから外国に頼り、期せずして外国もまた内政に干渉することになる。[中略]

 内には定められた法を実践し、外には外国に頼らず、君主の大権が自主のもので、一国の権力が自立していれば、たとえ十、百の強敵がいても、誰が意のままに干渉できようか。

 

(3)大韓国国制

第1条 大韓国は世界万国の公認したる自由独立の帝国なり

第2条 大韓国の政治は前にはすなわち五百年伝来し、後にはすなわち万世変わらざる専制政治なり

第3条 大韓国大皇帝は無限の君権を享有す。公法に言うところの自立政体なり

第4条 大韓国臣民にして大皇帝の享有する君権を侵損する行為があれば、そのすでに行うといまだ行わざる事を論ずることなく、臣民の道理を失したる者と認定す

第5条 大韓国大皇帝は国内陸海軍を統率し、編成を定め、戒厳と解厳を命ず

第6条 大韓国大皇帝は法律を制定してその頒布と執行を命じ、万国公共の法律にならって国内法律も改定し、大赦・特赦・減刑・復権を命ず。公法に言うところの自定立例なり

第7条 大韓国大皇帝は行政各府部の官制と文武官の俸給を制定あるいは改正し、行政上必要なる各項の勅令を発す。公法に言うところの自行治理なり

第8条 大韓国大皇帝は文武百官の黜陟(ちゅっちょく)任免を行い、爵位勲章およびその他の栄典を授与あるいは褫奪(ちだつ)す。公法に言うところの自選臣工なり

第9条 大韓国大皇帝は各有約国に使臣を派送駐剳(ちゅうさつ)させ、宣戦・講和および諸般の約条を締結す。公法に言うところの自遣使臣なり