朝鮮戦争の意義(テキスト:6−6 朝鮮戦争の意義)


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(1)戦争被害

 死者:南北朝鮮で400万人=北朝鮮250万人、韓国133万人(南より北の被害が甚大←米軍の空爆)。中国軍100万人、米軍6万3000人

 離散家族:1000万人

 

(2)朝鮮戦争と日本(参考:6−5)

a)日本の再軍備=警察予備隊の創設

 マッカーサー、吉田首相に指示(1950.7.8)→ポツダム政令第260号公布(警察予備隊令。1950.8.10。75,000人)=国会の審議を経ず(保安隊[52.7]→自衛隊[54.6])
 日本占領軍(米4個師団)が朝鮮に出動、米空軍機は板付などから爆撃
 海上保安庁(旧海軍掃海部隊)の機雷掃海部隊が元山沖掃海作戦に動員(「17番目の参戦国」)
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 サンフランシスコ講和条約(単独講和)・日米安全保障条約(1951.9.8)

b)日本共産党の反米路線

 当時、多数の在日朝鮮人含む

 レッド=パージ(大規模な公職追放〔朝鮮戦争前に24名→マスコミ50社704人、計1万2000人〕、幹部逮捕、機関紙「アカハタ」発行禁止〔50.7.18〕)
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 朝鮮戦争への協力・日本の軍事基地化に反対する実力闘争・非合法闘争へ(在日朝鮮人が先頭に)

c)特需景気:ドッジ=ラインによる不況への「神風」

 米軍への物資・サービスの調達(最初1年間に3億1516万ドル、ピークは52年で8億4200万ドル)

 繊維・金属中心(1950年10月に鉱工業生産が戦前の水準を突破)

*戦争の後方支援・補給基地。朝鮮の悲劇が戦後日本の発展の出発点(→高度成長)。北朝鮮の敵視=分断への加担

 

(3)民族分断の固定化、南北両政権独裁化の決定的契機

 韓国:反共意識の定着→軍事独裁政権の存在を許容

 北朝鮮:朝鮮戦争の廃墟、国際的包囲網の中からの再建→独自の社会主義体制(遊撃隊国家)

 

(4)東西冷戦の激化

 アメリカ:封じ込め政策から巻き返し政策へ(世界戦略の転換点)

 NSC(国家安全保障会議)48/2「アジアに対するアメリカの立場」(1949.12.30)
 ソ連の核兵器保有(1949.8)、中国革命の成功(1949.10.1、中華人民共和国成立)→共産主義拡大の阻止(日本の親米化、中国の承認反対、インドシナ介入、東南アジアでの反共連合体制の構築)